令和3年度 知事顕彰邑(5邑)

丹那(たんな)

市町
函南町
邑の概要
水田が広がる丹那盆地と周辺の森林や畑地の丘陵が美しい農村地域。明治時代に乳牛を導入し、現在も酪農が盛んな地域であり、地域の酪農家が搾乳した牛乳は「丹那牛乳」としてブランド化されており、県東部地域で販売、学校給食に多く採用されている。 環境保全・循環型農業を目指して「酪農王国オラッチェ」が、地域農産物を活用した地ビール、チーズ、スイーツ等を生産・販売している。また、函南町内の観光施設等と連携して、「函南町農泊推進協議会」を組織し、他の宿泊施設や体験施設と連携した農泊や体験ツアーの受入れを積極的に進めている。
評価点
第3セクターの「酪農王国」が中心となり、経済活動と地域活動を両立させて先駆的な地域経営に取り組んでいる。酪農を核として、ブランド化、各種新商品の開発・販売、安定的な交流事業を成功させるとともに、畜産堆肥の活用による循環型農業のシステムを構築し、環境保全にも貢献している。また、高齢者や障害のある方が活動する農福連携や、サラリーマン畜産農家などの後継者の育成に向けた活動も展開している。

五感で癒される湧水の里いのかしら(ごかんでいやされるゆうすいのさといのかしら)

市町
富士宮市
邑の概要
1,000haもの森林を有し、富士山や毛無山山系を源とした、清流芝川の水源となる豊富な湧水群が、集落内に点在する自然豊かな集落。移住・定住対策は、高齢化や過疎化による地域の活力を取り戻すため、受け入れ体制を整えるとともに、自治会活動への参加など活発なコミュニケーションが図られることで、多くの移住者を集めることに成功している。「NPO猪之頭振興協議会」では、湧水や農産物を活用したインバウンドを含む農泊や都市農村交流に取り組むとともに、地域内の食資源の活用や再開発を進めている。
評価点
湧水を活用した水田、わさび栽培など富士山の恩恵を受けた生産活動が行われており、富士山を背景に農村の原風景が維持されている。地域と行政の連携した子供のいる家族の移住・定住促進活動により、幼稚園児数の増など成果が現れ、地域コミュニティが維持されている。地域協議会が主体となり、地域資源を活用した交流活動や商品開発を進め、NPO法人化により活動を継続的に実施する体制が整えられている。

小瀬戸(こぜと)

市町
静岡市
邑の概要
藁科川中流域の茶園に囲まれた地区で、駿府城の石垣に使う石を切り出した石切場、小瀬戸城、小瀬戸神社等の歴史的資源が多数存在する。耕作放棄地の活用をする「小瀬戸クローバーフィールド」は、地区内外から学校の先生、ヨガの先生、大工など20~50代の様々なメンバーが参加し、畑仕事等を通じて自然と触れ合える場となっている。「つなぐ会」では、地区内を散策し、小瀬戸の野菜や茶、米等の地元の食材を使ったランチを食べるツアーを開催するなど、地域資源を活用したイベントも行っている。
評価点
移住者が地域リーダーとなり、各種団体が地域内外から参画者を得ながら遊休農地の有効活用や環境保全などの活動を活発に行っている。参画者の中には農業や園芸等の専門性を有する人材が活動に関わっていて、まとまりのあるコミュニティを形成している。SNSを活用した情報発信により地域のファンの拡大を図りながら、歴史や文化の地域資源を後世に伝える取り組みを実施している。

抜里(ぬくり)

市町
島田市
邑の概要
大井川中流域に位置し、山林に囲まれた茶園の中の集落。基盤整備を契機に、茶農家の規模拡大と老朽化していた荒茶工場の再編が図られた。これにより農地や農業用施設の維持管理を担う「抜里エコポリス」が発足し、今では農業者だけでなく地域住民全体を巻き込んだ活動として展開され、地域一体で「川根茶ブランド」の銘柄産地を支えている。SLの線路沿いの植栽活動やホタルの保全にも取り組んでおり、地域内外との交流に貢献している。
評価点
茶園の基盤整備を契機として、茶工場の再編と、農地や農業用施設の維持管理を担う活動を行い、地域全体で茶の生産振興を図っている。抜里駅を活用した休憩所では地元の方の手料理が振舞われている。国内外から茶畑の景観や地域との交流を求める人々が訪れ、ファンになった来訪者のサポートにより活動が継続され、地域のシンボルとなっている。大井川鐡道沿線の芸術祭との連携を通じて、アーティストや来訪者との新たな交流も生まれている。

天方(あまがた)

市町
森町
邑の概要
清流吉川や三倉川が流れ川沿いに水田や茶園、集落が点在する。ハンゲショウや桜といった美しい景観が邑の至るところにあり、地域の方々がこの景観を誇り、自発的に維持管理し、豊かな自然と地域の伝統が息づく里山風景を守っている。地域の自治会を中心とした半夏生部会、有志のオープンハウスの会、農業者、森町移住コーディネーターなどが参加して「森町ツーリズム研究会」が組織され、地域ぐるみで活動を行っている。地元産ブルーベリーのブランド化のため、地元高校・地元菓子店と連携し、ブルーベリースイーツを商品化し人気を得ている。
評価点
棚田や半夏生を始めとした美しい景観が地域住民の持続的な保全活動により守られている。森町ツーリズム研究会や移住コーディネーターにより移住促進が図られており、都市・農村交流イベントを行うことで、移住希望者や新旧住民が地域と交流できる機会となっている。これにより、良好なコミュニティが形成されている。地域ブランドを立ち上げ、地元の高校生や菓子店等と連携しながら地域農産物を活用した商品開発に積極的に取り組み、成果を上げている。