平成25年度登録

富士山のふもとの郷を守る邑(富士市)
レンゲ畑も広がります
レンゲ畑も広がります

先人の苦労で生まれ変わった農地

富士山南麓に広がる「浮島ヶ原」。かつては浮島沼と呼ばれ、富士山を眺望できる風光明媚な場所として旅人の疲れを癒していました。しかし、田植えや稲刈りの際には、泥深い水田に腰まで浸り、田舟で苗や稲を運搬しなければならず、農業を営むには劣悪な環境でした。
そのため、江戸時代から治水、排水工事が行われ、近年になって沼川排水路が完成すると、急速に乾田化が進み、現在では優良農地となっています。
富士梨は明治初期に富士地区で植え始められた梨です。糖度が高く、みずみずしい富士梨は、7月下旬から9月下旬にかけて収穫されます。栽培農家が直接販売していることが多く、市場やスーパーなどの店頭にはあまり並ばない希少な特産物です。


稲刈り、楽しい!
稲刈り、楽しい!

地域ぐるみで未来の担い手を育てる

地域では、ふじのくに美農里プロジェクトに取り組む組織「富士山のふもとの郷を守る会」を中心に、未来の担い手に農業に興味をもってもらうための活動を行っています。
地元小学校では、社会科の授業の時間に農業者の話を聞いたり、鎌を使った稲刈り体験を実施。幼稚園では、れんげの種まきと花の摘み取りを体験学習に取り入れ、農業者の指導の下に行っています。
地域企業と地域住民の協働活動も活発に行われています。景観形成のための地域清掃やれんげなどの植栽、ため池、用水路の草刈作業、不法投棄ゴミ処理作業などに、企業と住民が一体となって取り組んでいます。


貴重な自然を守り続けています
貴重な自然を守り続けています

浮島ヶ原の自然

浮島ヶ原の湿原には、環境省レッドデータブックに記載されている貴重な植物が分布しています。浮島ヶ原自然公園では、貴重な植物や自然風景を身近に観察できます。浮島固有種とされるナヨナヨワスレナグサなど貴重な動植物と出会うことができます。
浮島ヶ原地区へはJR吉原駅から北東に10Km足らずのローカル鉄道、岳南電車での訪問もお勧めです。線路際まで建物が迫る市街地や、パイプなどの配管がめぐる工場の間を縫うように、のんびりと走ります。

この邑のおすすめ