遠州の小京都、森町議会議員でもある岡戸章夫さん。生まれ育った三倉地域は、昔から林業や炭焼き、お茶や椎茸などの農業を中心に営んできた邑であり、信州へと続く信州街道「塩の路」、火伏の神・秋葉神社へと続く「秋葉街道」の三倉宿としても栄えてきました。しかし、近年は過疎化・少子化の問題が加速していると言います。「カを注いでいる取り組みは、移住者の迎え入れです。私たちのやり方は、イベントや村おこしで人を呼び込むのではなく、邑に移り住んでくれる人をあたたかく迎え入れること。活性化するための活動を行っても、結局のところ後継者がいないという事例はよく聞く話です」その甲斐あって、邑全体で移住世帯は10世帯。なかでも岡戸さんの住む中村地区は、18世帯中6世帯が移住者で子どもの数は13人と、森町でも稀に見る子どもの多い地区です。中村地区では移り住む人が増えたことで、「子どもたちのために何かやろう」という機運が高まり、20年ぶりに子ども会が再発足。森町ツーリズム研究会主催のオープンハウスにも地域ぐるみで参加し、「なかむら横丁」としてそれぞれのお店を出店し、多くの人々が訪れています。移住者が増えた理由について尋ねると、「大きく2つあります。1つは初めての移住者である高橋さんが、それまでの邑の雰囲気を変えたことです。中村地区の住人が高橋さんを移住者扱いしなかったことや、仲間が増えることはいいことだと気付いたことが大きいと思います。2つ目は、村祭りで屋台を新築したこと。引き手が少なくては様にならない。『子どもたちに祭りを好きになってもらえるように、もっと仲間を増やそう』という機運が生まれました」と分析します。今後の課題について、「次の世代への引き継ぎをうまくやっていきたい。子どもたちにとって魅力ある地域になるためにも、中村地区で得た新しい邑人が増えるノウハウを邑全体に広げる必要があると思う」と語り、意欲を見せました。移住者の迎え入れに尽力移住者が移住者を呼ぶいい流れ次世代にどう引き継ぐか子どもたちにとって魅力ある地域づくりを移住者が増える中村地区で培ったノウハウを邑全体に広げたい高橋 均さんれきしとしぜんがかなでるさとやま みくら 三倉に移り住んで魅かれてきた皆さん新たな取り組みで地域を盛り上げる邑びとを紹介します。今回は、移住者の迎え入れに独自の手法で取り組む岡戸さんに話を聞きました。横山春人さんはご家族で手作りの「もりあげサンド」を販売。なかむら横丁にて堀尾 京子さん子育てを第一に優先し、環境の良い森町への移住を決意。2017年10月に築100年を超える古民家を購入して森町三倉での生活を始める。1990年11月に東京から森町三倉へ夫婦で移住。有機農法による野菜栽培「高橋農園」を営む。ベテラン移住者として皆から頼られる存在。「自然豊かな土地で暮らしたい」と森町三倉に魅せられ、2021年7月に家族3人で移住。地域おこし協力隊として空き家の利活用や移住の支援を行う。堀尾 京子さん高橋 均さん横山 春人さん秋に行われる三倉の祭り「許禰(きね)神社例祭」横山 春人さん歴史と自然が奏でる里山 三倉 代表車/新東名高速道路 森掛川ICから約20分岡戸 章夫さん歴史と自然が奏でる里山 三倉周智郡森町三倉
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